国宝 阿修羅展 [雑感]
上野の東京国立博物館で6月７日まで開催されている「国宝 阿修羅展」に行ってきました。阿修羅像は、以前、奈良の興福寺を訪れた折にも
拝見しているのですが、
独特の周りに漂う空気感というか存在感に圧倒され
しばらく、行きつ戻りつ飽きずに眺めていた記憶があります。
展示が違えばまた、印象が違うかもしれないと思い
楽しみに出かけて来ました。
GW直前の平日に出かけたのですが、１１時少し前に付くと会場は、長蛇の列。
入場制限中で３０分待ちとのこと。
まあ、GW中に成ってしまうと、もっと待ち時間が延びてしまうでしょうから
この待ち時間でも御の字でしょう。
しばし待って入館。じっくり鑑賞したかったので荷物は、入り口脇の無料のロッカーへ。
展示は、メインの阿修羅像の他に、中金堂基壇の発掘などで見つかった鎮壇具、他の仏像など。
鎮壇具というのは、建物を建てる際に、土地を浄めるとともに、
建物に災いがないように願って基壇の下に埋められた品々の事です。
金･銀･真珠･水晶･琥珀･瑠璃･瑪瑙などで作られた装飾品や銅鏡や刀剣、皿などの日常品等が
見つかっており国宝指定を受けているものも多いとのこと。
この中で私が一番惹かれたのが「水晶の入れ物」です。
太い六角柱状の水晶の中央を円筒形にくり貫き、上下に同じく水晶を削りだした蓋を付けて、
内部に小さなものが封入できるようにしてあります。
何を封入していたのかは、判っていないようですが、その透明感が実に美しい。
また、水晶の六角柱状の結晶をそのまま活かしたセンスにも驚かされました。
レプリカでよいから欲しくなってしまいました。
阿修羅像以外の仏像も背面まで見られるように配慮してあるのが嬉しい。
お寺の展示などでもあまり背面までは、見ることが出来ませんからね。
線の流れや、造りのバランスなど、発見が有ってみていて非常に楽しい。
さて、メインの阿修羅像は、やはり抜群の存在感です。
光に映し出されて金色のような色彩を帯びています。
ちょっと人が多くて落ち着かないのが難点ですが、ぐるりと全体を眺められるので
左右の顔の表情などもじっくり見ることが出来ます。
今回、見られて良かったのは、その左右の顔の表情。
個人的な印象に成りますが、正面から向かって左の顔がやや若く、
継いで右、正面と年齢が上がっているように感じました。
向かって左の顔がやや厳しい表情、右が何か戸惑いを感じさせる表情、
正面が真摯さを感じさせる表情のように思います。
この顔の違いには、いろいろな解釈があるようですが、私としては、
向かって左が若い頃の苛立ちや世の中に対する怒りをもっていた時代、
右が、その自分自身の怒りの矛盾や認識のズレに戸惑い悩む時代、
正面が、それを乗り越え自分自身を見つけ出した時代という、
人間の普遍的な心の変化を表しているように感じました。（あくまで「俺説」です。（笑））
像としては、やはり正面やや右から眺める風情が一番好きですね。
後ろから見た姿も前から見るよりも平坦ですが、腕の腕輪の造型が前よりも良く残っていたりと
感心する所が多く興味深かったです。
コースの最後にCGで再現した阿修羅像の映像があるのですが、
これは、現在の阿修羅像をCGに直しただけで少々残念。
どうせなら、造られた頃の色合いを再現するとか、現在は、失われている、
中段の腕の弓矢を持った状態を予想再現するとかして欲しかったなと思いました。
現在、非常に人気のある展示会なようで、ちょっと人が多すぎる感もありますが、
背面まで心置きなく見られるのは、貴重な機会。
興味のある方は、ぜひ御覧になることをお勧めします。
「国宝 阿修羅展」東京国立博物館 2009年６月７日まで開催
その後、全国で開催される様。
タグ：阿修羅展
ああ、お出掛けになりましたか。
私は連休明けに伺う予定です。
ちなみに、人気のある展示会は朝イチがお勧めです。
（特別展も面白そうだ！）
「水晶の入れ物」は大きいと高いですよ～！（笑）
確かモンテ・クリスト伯が、エメラルドの入れ物をお持ちだったよーな・・・
（↑小説かいっ！）
by でえ (2009-05-04 03:43)
でえ様
はい、行っていました。
朝一は、空いてるのが判っていてもなかなか起きられませんです。
ただ、今回の阿修羅展は、早く行ってじっくり対峙するのも
有りだと思いますよ。
＞特別展
カルティエさん所有の宝飾品のヤツですね。
お好きそうな分野ですものね。
＞「水晶の入れ物」は大きいと高いですよ～！（笑）
親指ぐらいで良いのですけどねぇ。
何となく幸運が回ってきそうな気がしません？（笑）
by 真秀 (2009-05-06 13:45)